晩春の将棊頭山



モルゲンロートに染まる木曽駒ヶ岳

山行日 2012年4月28(土)〜29(日)
同行者 単独
山のデータ 将棊頭山: 2730 m

恒例となりつつあるGW アルプスチャレンジ

臆病者のピッケル君 アルプスなんざぁ〜 7月〜9月の夏山期間だけが一般人に入ることが許された聖域だと思っていた。 ところが、晩秋や晩春の雪のある時期も 条件が整い、きちんとした装備を持てば、ピッケル君のような一般者をも迎えてくれると知った。

昨年の燕岳に引き続き 2年連続 GWアルプス登山。 昨年の燕岳は山荘泊だし、それなりに多くの登山者がいるので単独でもさほど不安は無かった。 しかし、今年は夏場でも比較的人気の少ない中央アルプス最北端の将棊頭山。

雪崩は大丈夫か? 稜線にナイフリッジのような痩せ尾根は無いか? 稜線の強風で滑落の危険は無いか? 雪庇踏み抜きは?  などなど 不安はいっぱい???

事前にネット情報を集めてみるが なかなか この時期の将棊頭山の記録が見当たらない。 地形図や少ないネット情報では さほど危険な場所は無さそうだし、大樽避難小屋や西駒山荘(冬季避難用に一部開放)など、万一の際の避難小屋もある。

「稜線であまりにも風が強いようなら引き返せば良い!」 そう 自分に言い聞かせて 決行することとした。


大樽小屋までは楽勝

訳あって、4/28(土)の早朝、名古屋南部を出発。 名古屋は大阪や奈良に比べるとアルプスへのアプローチが便利で良い。伊勢湾岸道から東名、中央道を乗り継ぎ3時間弱で登山口まで到着。

伊那ICを降りて県道202号線を小黒川渓谷キャンプ場へと車を走らせると車窓から目指す将棊頭山と茶臼山がお出迎え。

この時期、キャンプ場までしか車で入れないかと心配したが、登山口となる桂小場まで乗り入れることが出来た。
雪のアルプス単独山行と云うことで、4月から山岳保険を更新し、名古屋南部で事前に用意した登山届をポストに投函

そうそう 備えあれば・・・・・
っちゅうことです

駐車場には車が4台ほど停まっていて、独りぼっち と云うわけでは無さそうだ
周囲には全く残雪もなく 30分ほどで 「ぶどうの泉」っちゅう水場に到着。

大樽小屋にも 西駒山荘付近にも 「水場」マークがあるにはあるが、この時期 雪に埋もれて 水の調達が困難かも知れない。

まぁ〜 最悪の場合 雪で水を確保できる とは思うものの 念のため ここで飲料水を500 mLだけ確保
大樽小屋付近から、残雪が多くなり、ワカンを装着

当初は、ここで1泊して翌日の天候を見て将棊頭山へとピストンアタックのつもりであったが、今日はド快晴

時間的にもまだ11時前だし、一気に将棊頭山まで突き進むこととした

水場が心配ではあるが、これだけ雪があれば どこでも確保可能だろう
大樽小屋までは、ほぼコースタイムとおりに来たが、「ワカン」を装着後 一気にペースダウン

ここから先は まさしく「胸突八丁」で 急な登りと 腐れ雪で 悪戦苦闘

あまりに斜面が急なのと、 腐れ切った雪にズボズボ埋まって ひたすら体力を消耗、、、、

途中で 左足が大きくズボって ワカンが雪の下の木に引っ掛かり もがいても あがいても どうやっても脱出不能

しまいに 足が攣ってしまった (>_<)

やっぱ 雪山の単独山行は こんな些細なことでも一気に窮地に追い込まれる。 ちょっと プチパニックを起こし、、、

「おいおい こんな所で一夜を過ごすなんて御免やで・・・」

なんて 半べそ状態 (>_<)

ストックで雪を掻き分け  やっと ストックの取っ手をワカンに掛け 腕力と脚力のコラボレーションで 脱出 \(^o^)/

なんと脱出まで20分  長い間 雪の上に お尻を着けていたので 下着まで ずぶ濡れ

周囲に誰もいないのを確認して 下着の交換


周文字通り 「胸突き八丁」を3時間ほどかけて やっと 稜線の「胸突の頭」へ到着

標高が上がるにつれて 日差しが強くなり 気温もグングン上昇  ますます 雪は解けて ベタベタ ズルズル


3時間あまりの激闘を 中央アルプスの絶景が称えてくれるかのようです
  

しばし 中央アルプスの絶景に 疲れを癒されるが、、、、、、、、

目指すべき将棊頭山へは まだまだ 200 mほど登らなければならない

胸突き八丁で 太腿に乳酸が溜まり 云うことを聞かない

ワカンを外して 雪の無い 右側のハイマツ帯を進む

最後は 倒れこむように将棊頭山に到着

なんと 大樽山荘から ここまで 4時間程度を費やした

もう ほとんど 体力の限界 (>_<)
南アルプス オールスターズも 勢ぞろい

眼下では 西駒山荘が雪に埋もれている

西駒山荘の直上分岐付近で 緑に映えるエスパースのソロテンを張っている 初老のオジサン 独り、、、、

「西駒山荘には泊まれないっすかぁ〜???」

「まぁ〜 あれだけ 埋まってたら 相当 掘らんと 入れんヤロな?」

「・・・・・・・・・・・」


スッカリ バテバテの ピッケル君

避難小屋泊の予定でも 一応 念のため テントは持参している、、、、

しかし もう バテバテ クタクタで 雪を掘って テント設営準備の気力、体力が残されていない

初老のオジサンに ブラックダイヤモンドのスコップを拝借して 隣に テントを張らせてもらう


オジサンのテントは 雪山の教科書に出てくるように しっかり雪を掘って 周囲を雪のブロックで固めているのに、、、、

ピッケル君のテントは手抜きも良いとこ

もう 体力残って無いし・・・・ (>_<)


テントを張った後に もう一つ 大仕事

西駒山荘下の水場は 雪に埋もれて 水が取れない

仕方が無いので テント設営用に掘った雪を集めて 水を作る

2クールで 合計2 L

出来たての お湯を外の雪で冷やして冷水を作って 焼酎の水割り

腹ペコで 夕食まで待てずに 「かっぱえびせん 紀州の梅」で チビチビ 始める

事前に買い出しなどの山行準備が出来なかったので 今日の夕食は 「さとうのご飯」と「レトルトカレー」

ところが 自慢のEPIのコッヘルが 小さくて 「さとうのご飯」が入らない

さてさて どうやって 温めるか?

そうそう 大コッヘルの中に少々水を入れ、その中に 小コッヘルを入れる これで 即席 蒸し器の出来上がり

その中に 封を開けた 「さとうのご飯」を入れて 温めれば ふっくら 炊立てご飯の出来上がり

容器のまま 熱湯で温めるより はるかに 美味しい ご飯お完成

さらに 今回持参した タイ レッドカレーが 超辛口で ウマイウマイ

すっかり ご機嫌で 3杯目の焼酎に突入するころ

隣の御仁に 「夕陽が沈むよぉ〜」って 声をかけられた

お隣の御仁 に 誘われて 夕陽を見に行く

オジサンは 御年 64歳 まだまだ元気で この春 雪のバリバリ残る 甲斐駒ヶ岳へも行ってきたらしい

明日は 早朝から 木曽駒ヶ岳へとピストンすると云う

同行を誘われたが、予定していないし、昨日の胸突八丁で 燃え尽きてる

馬ノ背の滑落も怖いので 丁重に辞退



伊那前岳〜宝剣岳〜中岳〜木曽駒ヶ岳が
夕陽に染まる
こちらは木曽駒ヶ岳から木曽前岳へと続く稜線
夕陽はドンピシャで 木曽御嶽の山頂へと
沈んで行った

ダイヤモンド富士 じゃなく

ダイヤモンド御嶽かな?


寝酒飲んで すっかり熟睡 ZZZzzz......

シュラフカバーを忘れた (ってか 軽量化のため持参しなかった)ので

夜中に地面からの冷気で寒くて目が覚める

ザックに足を入れて 何とか凌ぐが

夜中の1時から5時ころまで 浅い眠りでまどろむ

まだまだ ゴロゴロ 惰眠を貪ろうかと ゴロゴロしてたら

またまた 隣の御仁 に

「もう 起きてるかぁ 〜?」

「わしゃぁ そろそろ 木曽駒へ向けて出発するワ!」

まだまだ 現役 ムッチャ若い

「また 良い山 登ってくださいネ!」

そんな 素敵な言葉で お隣の御仁は 木曽駒へと向かって行かれた

何か むっちゃ 心に沁みる言葉でした
テントから顔を出して 隣の御仁を

お見送りすると ちょうど ご来光タイム

昨夜 木曽御嶽に沈んだ太陽が

今朝は 赤岳から顔を出す
そして 木曽駒ヶ岳が モルゲンロートに染められ うっすらピンクに輝く

なんか 薄化粧したみたいで ちょっと 色っぽい


いつまでも 朝陽に輝く アルプスを満喫していたい そんな気分ではあるが

そろそろテントを畳んで 撤収




将棊頭山の山頂で 木曽駒に別れを告げる

アチコチに出来たクラックに

ビビリながら

下山

胸突八丁を ワカンで 激下り

3時間も悪戦苦闘した胸突き八丁を1時間弱で下りきる



ぶどうの泉 周辺に咲く ニリンソウに 心癒され 桂小場へと下山

近くに温泉が無いので、駒ヶ岳口まで車を周回

昨年 檜尾の下山後に立ち寄った こまゆき荘にて 汗を流す

ちょうど GWで 何やら地元の出店がいっぱい立ち並び

タラの芽やアブラコブシなど山菜パックを 500円で購入

春の山菜 大好きな 老父母へのお土産

天婦羅にして 美味しく頂きました


コースタイム

1日目(4/28)

4:40 8:10 8:25 10:50 13:40 13:50 14:40 14:50
名古屋南部 桂小場 大樽小屋 胸突の頭 将棊頭山 西駒山荘(テント泊)

2日目(4/29)

6:40 6:50 7:05 7:25 8:10 8:20 9:40 10:25 11:10 13:20 14:30 16:50
西駒山荘 将棊頭山 胸突の頭 大樽小屋 桂小場 こまゆき荘 名古屋南部 生駒






ピッケル君のアウトドア









































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